夜歩き


 夜という言葉の印象に引き擦られ過ぎていたらしい自分は、玄関を開けて外に出た途端、あんまりにも明るいので度肝を抜かれてしまった。その明るさと言ったら結構なもので、向かいの山の木々の揺らぎまでもが鮮明に見えているほどだ。どうにも今夜は満月らしい。頭上で煌々と輝く月に照らされて、両手をポケットに突っ込んだちゃらんぽらんな影が、私の足元まで真っ直ぐ伸びている。