短歌


短歌詠むフォロワー見るたび自分もと思えど未だに指は動かず

140字制限付きのSNSで31字に四苦八苦する

スペースキー、シフトにオルト、あとコントロール。日頃の業務のお供の奴ら。

世間では嫌われがちなCaps Lock 皆の分までたくさん使うよ

=SUM( )イコールサムの中に何でも入れればいいと思ってるお前を詰め込んでやる

座ってるジジイの画像を探せども見知らぬジジイ弁慶が如く

これでいいかと見様見真似に31 いつもそうだろ絵にせよ字にせよ

こんこんと鳴き出しそうな女ひとり自慢の尻尾が静かに揺れる
(千代に御千代に)

「チガウノ」と呼ばれて久しいこの猫の後ろ姿はたぬきと違うの

ひとつめでみどりで働くいきものの行動原理はよく分からない
(はたらくいきもの)

知らんけどナビ通り行きゃ着くんちゃう? 角を曲がれば何処だろここは

弊社でのお前の味方は俺だけだ だからWordは言う事を聞け

前述の通りWordは忌避されて酷使されてる哀れなExcel

見逃した再沸騰の赤ランプ 黒くて苦くてぬるい液体

一月が終わる速度が早いので来週くらいは三月かもなあ

海と川、家に砂浜、雪の山、空に湖、サメの出る場所

生きるのもそんなに悪いもんでもない だからさあんまり悲観をするなよ

ふわふわにくっつき虫を携えて豊かな尻尾 我が顔を撫でる

麻雀を覚えてみたいと幾星霜 上海ばかりが上手くなりゆく

道路のシマウマ見向きもされずブレーキ踏み付ける右足強く

怖すぎるトイレ行くのに外出たらイノシシ4匹と鉢合わせた
(古い家に住んでいるのでトイレが別棟にあります)

ぷいぷいと鳴かない車を愛でている レタスは食べない ガソリンは飲む

逃げちゃえと逃避行を促す君は職場以外を知らない水筒

車高短とウーハーのエグいワゴンRに追い越されながら聞くハヌマーン

フロントにぶつかった虫の体液でロールシャッハのテストなどする

レジで貰う薄荷の味の思い出は噛み砕くから家まで保たない
(焼肉)

おちおち旅行に行けないのなら月も城崎もどこでもおなじ
(トラベルプランナー)

先週に今週中でと言ったのに来週にはとか言われちゃ堪らん

この世にはハムとタマゴとチーズがあればそれでだいたい解決するのだ

人生の船頭が欲しい 増えすぎたカバを食えよと言われても良い
(おカバさま/先行き不安)

Excelで文書を作るやつ専用地獄があれば教えて欲しい

「抜くまでは確かに白髪だったんだ」と鏡の中の自分が言い訳

顔の無い医者が言うには「余命まで、十、九、八、七、六、五、四、……、……、……」