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人工血液が開発されてやっと吸血鬼からの吸血被害が無くなるかと思いきや、全然減らないどころかむしろ増加傾向にある。
人工血液は不味くはないんだけれどやっぱり本当の血液とは味も風味も違うんだそうだ。カニとカニカマボコみたいなもん?
どこか味に違和感を覚えているところに不意に人間を見掛けると、(あ、あの味だ)と思ってつい、だとか。
つい、じゃあないんだよ。
文句を言いながら首の傷跡をポリポリ掻く。吸血鬼は気まずそうに絆創膏を差し出した。その様子が随分と用意周到に見えたので、吸う前提? と聞くとにへりと笑うだけで否定はしなかった。