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 人工血液飲料の紙パックにストローを挿しながら、友人は仕事を辞めようか悩んでいると話した。
 
 えっ、嘘、なんで? 転職だって喜んでなかったっけ? 賄いも出るし社割りも効くし、すごく良いって言ってたのに。
 疑問に思った私は思いつく限りの理由を挙げてみる。友人は首を横に振る。どうしてよ、と更に理由を問い正す。ストローをぐるぐる回しながら、友人は立派な八重歯を口から覗かせた。
 
 あー、わかる。そりゃ仕方ないね。
 私もドーナツ屋でバイトしてからドーナツ嫌いになったもん。
 
 飲み物に口をつけようとしない友人に合点がいった私は、自分が飲んでいたミルクティーを差し出す。友人は全く遠慮しない様子でそれを受け取った。